超流動ヘリウム実験

富山大学 研究推進機構 研究推進総合支援センター 自然科学研究支援ユニット

極低温量子科学施設

Low Temperature Quantum Science Facility

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更新日 2017-02-28 | 作成日 2009-04-02

超流動ヘリウム実験

4He(ヘリウム)は2.17K以下に冷やすと超流動状態へ移行する。超流動状態では粘性がなくなり、以下に示す不思議な現象が引き起こされる。

噴水効果

先を細くしたガラス管に黒い微粉末を密に詰めたものを用意し、超流動状態の液体ヘリウム中に沈める。黒い粉末に白熱電球の光を当てると粉末中のヘリウムは温められ、その一部が常流動状態になる。常流動ヘリウムは微粉末中を動けないため、超流動ヘリウムがガラス管の底から勢いよく入り込み、その勢いのまま上から噴水となって吹き出す。





カピッツァの蜘蛛

蜘蛛のように見える模型は、ガラス管でできた6本の足とそれらが接続する中空の胴体部分からできている。胴体部分には噴水効果と同様に黒い微粉末が密に詰まっている。胴体の内部へ通じる経路は6本の足のみであり、胴体の底の部分は完全に閉じてある。ここで粉末に白熱電球の光を当てると6本の足から液体ヘリウムが吹き出し、蜘蛛の模型はくるくると回転し始める。このまま光を当て続けると胴体中のヘリウムはすぐに底をつき、回転が止まってしまうように思われるが、実際には長い時間回り続ける。なぜこのようなことが起こるかというと、ガラス管の中央部をヘリウムが外へ向かって吹き出している一方で、ガラス管の内壁を伝って薄い膜状の超流動ヘリウムが胴体内部へ流れ込んでいるためである。1978年、カピッツァがノーベル物理学賞を受賞した際、授賞式でデモンストレーションした実験として知られている。